ワーキンググループについて

WG1 : 農業経済学・人文地理学・文化人類学・農学

WG1では、農家に行動変容を促すことを目的としたインセンティブの効果と、藁焼きに代わる様々な選択肢を調査します。初年度は、有権者名簿をもとにパンジャーブ州全域を対象としたアンケート調査を実施。その結果をもとに掘り下げたインタビューを実施し、農業の伝統的文化的背景や利用可能な労働力、補助金が農家やコミュニティの意思決定に与える影響を調べます。さらに、藁管理の技術的、社会経済的なメリット/デメリットも検討します。また、藁の代替的な利用法や持続可能な農業を目指した新しい実践法についても提案します。

研究計画

WG1は、藁の様々な代替用途に焦点を当てながら、農家に藁焼きを止めさせるインセンティブの効果を調べます。2020年度にはWG2・WG3と連携してアンケート調査を実施。以下の項目について調査を行います。

  • 経済状態
  • 藁焼きの状況(継続・中止)とその理由
  • 地域農業の文化的・伝統的背景
  • 利用可能な労働力
  • ハッピーシーダー等の農業機械購入のために交付された補助金の利用・不利用およびその理由
  • 医療機関での治療経験
  • 自身の健康への関心

2020年度後半からは、アンケート結果を分析し、農家の行動を把握します。

またWG1では、LPU・PAU・CIPT・IRRI-Indiaと共同で、藁焼きに代わる様々な選択肢についても探ります。

  • 他農産物の栽培(例:ジャガイモ・ミント・綿花など)
  • 家畜飼料としての販売
  • 堆肥化 
  • 梱包化

WG2:大気科学とリモートセンシング

WG2の目的は、現地観測とモデルシミュレーションを活用して、パンジャーブ州での藁焼きがデリー首都圏の大気質に与える影響を定量化することです。パンジャーブ州のモニタリングデータは限られているため、数百台の小型計測装置を用いてネットワークを構築し、これによって周囲のPM2.5レベルを計測し、藁焼きによる排出量インベントリを精緻に推計します。このデータとヒンドゥスターン平野全域の衛星観測データを組み合わせることで、モデルシミュレーションによる拡張解析が可能となります。プロジェクト後期には、特別に開発されたアプリを使用して、スマートフォン経由でPM2.5の分布を送信する予定です。

研究計画

WG2の初期目標は、パンジャーブ州の藁焼きがデリーの大気質に与える影響を定量化することです。定量化は以下のように実施されます。

  • 数十台の固定式小型計測装置(CUPI)を設置したデータモニタリングのネットワークを構築し、パンジャーブ州・ハリヤーナー州・デリー州でPM2.5レベルを計測
  • 衛星で観測された火災検知数の解析
  • モデルシミュレーションによる大気汚染物質排出量の推定(WRF Chem・NHM-Chem) 

リモートセンシングチームは、WG1向けに以下のような有用情報も提供します。

  • 衛星で観測された火災検知数
  • 衛星で観測された煙の拡散・エアロゾル分布
  • 衛星データを用いた土地利用変化の分析
  • 栽培時期の情報を含む二毛作の地理的分布

WG3:疫学と公衆衛生

WG3では、地域住民の健康意識向上を目的として「空気と健康」と題する健康教室を実施します。また、WG3の医師が女性や子どもの健康診断を行い、肺機能の検査や症状の観察を行います。研究計画の大きな利点は、小型の計測装置を用いて個々のPM2.5曝露量を推定できることです。下図は、2018年11月2日にパンジャーブ州で行われたPM2.5曝露計測の一例です。

PM2.5 diary, Nov. 2, 2018, Punjab

研究計画

WG3では、現地の様々な機関と連携して、パンジャーブ州モーガー県とルディアーナ県の農村部で「空気と健康」と題する健康教室を実施し、健康意識の向上を目指します。

WG3の医師が、現地協力者の支援のもと、子どもと母親の健康診断を実施し、ピークフローメーターによる肺機能検査を行います。また、各地域の方言で利用可能なスマートフォンアプリを使い、住民の日常的な症状に関する情報を収集します。