プロジェクトについて

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Aakash members
Aakashプロジェクトのメンバー:2019年9月 総合地球環境学研究所(京都市)にて

Aakashプロジェクト 〜総合地球環境学研究所 フルリサーチ(2020.4 – 2025.3)〜

本研究では、インド北西部パンジャーブ州とハリヤーナー州において、10月から11月にかけて行われる大規模な収穫後の藁焼きによって発生する大気汚染を取り上げます。藁焼きは周辺地域で深刻な大気汚染を引き起こし、何億人もの人々の健康や幸福に影響を及ぼしています。本プロジェクトでは、観測データとモデルシミュレーションを用いて、パンジャーブ州の藁焼きとデリーの深刻な大気汚染との関連を科学的に検証します。その結果をもとに、文化的背景や、大気汚染が及ぼす健康への悪影響に対する住民意識も配慮しながら、大気浄化・公衆衛生の改善・持続可能な農業への転換に向けた社会変容を推進していきます。

プロジェクトの目標

本プロジェクトの目的は、大気浄化、公衆衛生の改善、持続可能な農業への転換の実現に向けた社会変容を促すことです。経済的インセンティブ、技術革新、健康リスクへの意識向上など様々な取り組みに対して、地域社会やステークホルダー、行政機関の行動変容を調査します。図1は、本プロジェクトに携わる3つのワーキンググループの目標を示したものです。

図1:Aakashプロジェクト 各ワーキンググループの目標


この研究結果により、政策立案者は、生活保護や経済発展だけでなく環境にも重点を置いた情報発信と意識向上を目的とする施策について、十分な情報に基づいた意思決定を行うことが可能になります。したがって、本研究の成果は、地域的にも世界的にも、同様な大気汚染問題に対処するための基礎として活用できるでしょう。

Aakashについて

「大気浄化、公衆衛生および持続可能な農業を目指す学際研究:北インドの藁焼きの事例」

Aakashプロジェクトは、2020年4月1日に総合地球環境学研究所(RIHN)にて発足しました。プロジェクトの正式名称は、「大気浄化、公衆衛生および持続可能な農業を目指す学際研究:北インドの藁焼きの事例」と題しています。プロジェクトの目的が大気汚染問題への取り組みであることから、ヒンディー語で「空」を意味する「Aakash(アーカッシュ)」と名付けられました。パンジャーブ州とハリヤーナー州では、10月から11月にかけて大規模な収穫後の藁焼きが行われ、その結果、周辺地域、特にデリーとその周辺地区からなるデリー首都圏で深刻な大気汚染が発生しています。エビデンスは、作物残渣の燃焼がヒンドゥスターン平野(IGP)全域にわたり大気質に悪影響を及ぼしているとも示唆しており、現代農法が地域の大気質に悪影響を与える可能性と同様に、何億人もの人々の健康と幸福に及ぼす影響を浮き彫りにしています。

プロジェクトが目指すもの

本研究では、インド北西部のパンジャーブ州とハリヤーナー州において、10月から11月にかけて行われる大規模な収穫後の藁焼きによる大気汚染を取り上げます。藁焼きによって、周辺地域、特にデリー首都圏(Delhi-NCR)で深刻な大気汚染が発生しています。エビデンスは、燃焼がヒンドゥスターン平野全域の大気質に悪影響を与えているとも示唆し、現代農法が地域の大気質に悪影響を及ぼす可能性と同様に、何億人もの人々の健康と幸福に影響することを明らかにしています。

本研究の背景

インドのパンジャーブ地方は、降水量が少ない半乾燥地帯のため、昔から集約栽培には適していないと考えられていました。この地域の昔ながらの農業は、小麦栽培と畜産(牛)の混合農業で成り立っていました。しかし、イギリス植民地時代の灌漑用水路の整備により穀物の一大生産地となり、1960年代にはいわゆる「緑の革命」の地となり、パンジャーブ地方は人口大国インドの食糧生産の中心的役割を担ってきました。1970年代になると、ほとんどの地域で小麦と米の二毛作が行われるようになりました。しかし、この栽培方法では、稲刈り後すぐに小麦を播く必要がありました。従来の手刈りでは稲の茎を根元から刈ることができましたが、コンバインの使用が増えたことで圃場に大量の刈り株が発生しました。そのため、農家は10月下旬から11月上旬という短い期間に、この残渣(刈り株や茎)を燃やして小麦の播種に備えなければなりませんでした。また、この時期の風向きは北西方向に偏りがちで、その結果、発生する煙はデリー首都圏に向かうことが多く、現地の大気質に大きな影響を与えています。しかし、パンジャーブ地方の藁焼きとデリーの大気汚染悪化との因果関係はまだ十分に解明されていません。これは、インドでは先進国に比べて精緻な大気汚染のモニタリングネットワークが整備されていないことが主な原因です。また、パンジャーブ地方の農民の多くは自分たちの行動を認めたがらず、学術研究者の間でも意見が分かれています。

プロジェクト構成と研究計画

本プロジェクトでは、観測データとモデルシミュレーションを用いて、パンジャーブ州の藁焼きとデリーの深刻な大気汚染との関連を検証します。その結果をもとに、大気浄化、公衆衛生の向上、持続可能な農業の転換に向けた社会変容を推進していきます。プロジェクトは3つのワーキンググループに分かれおり、農家や地域社会の行動、ステークホルダーや行政機関の行動について、様々な側面から検討します。

ワーキンググループの詳細については => ワーキンググループ